2006年・第1回WBCを振り返る~誤審、生き返れ福留、神の手~

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松井秀喜選手は不参加もイチロー選手が参加

記念すべき第1回WBCの日本代表メンバーは松井秀喜選手(当時ヤンキース)、井口資仁選手(当時ホワイトソックス)らが出場できなかったもののほぼ最強メンバーを選出することに成功した。指揮を執るのは「世界の王」こと王貞治監督だ。



★代表メンバー(敬称略・所属は当時)

【監督:1名】

王貞治


【コーチ:5名】

鹿取義隆

武田一浩

大島康徳

辻発彦

弘田澄男


【投手:13名※】

清水直行(ロッテ)

藤田宗一(ロッテ)

久保田智之(阪神)

松坂大輔(西武)

上原浩治(巨人)

薮田安彦(ロッテ)

和田毅(ソフトバンク)

藤川球児(阪神)

渡辺俊介(ロッテ)

大塚晶則(レンジャーズ)

小林宏之(ロッテ)

杉内俊哉(ソフトバンク)

石井弘寿(ヤクルト)

馬原孝浩(ソフトバンク)


※石井選手が2次リーグ前に離脱したため馬原選手が追加招集

【捕手:3名】

里崎智也(ロッテ)

谷繁元信(中日)

相川亮二(横浜)



【内野手:8名】

岩村明憲(ヤクルト)

小笠原道大(日本ハム)

松中信彦(ソフトバンク)

西岡剛(ロッテ)

今江敏晃(ロッテ)

宮本慎也(ヤクルト)

新井貴浩(広島)

川崎宗則(ソフトバンク)



【外野手:6名】

和田一浩(西武)

多村仁(横浜)

金城龍彦(横浜)

福留孝介(中日)

青木宣親(ヤクルト)

イチロー(マリナーズ)



メジャーリーガーはこのオフに移籍した大塚選手を含め2人が参加した。

ボブ・デービッドソン球審の大誤審

東京ドームで行われた1次リーグでは中国に18-2、チャイニーズタイペイに14-3と大勝。3戦目の韓国には2-3と惜敗。2勝1敗と2位で2次リーグへ進出を決めた。

2次リーグからはアメリカへ舞台を移すことになる。

2次リーグは日本、アメリカ、メキシコ、韓国の組み合わせとなり上位2カ国が準決勝に駒を進めることができるのだ。



初戦の相手アメリカだった。この大会のアメリカは国の威信を賭けた戦いということで最強メンバーを選出してきた。投手陣にはロジャー・クレメンス選手(アストロズ)、ジェイク・ピービ選手(ブレーブス)らが揃い打線にはデレク・ジーター選手(ヤンキース)、アレックス・ロドリゲス選手、ケン・グリフィー・ジュニア選手と錚々たる顔ぶれだ。


この試合は両者譲らず3-3のまま試合は8回へ。ここで世紀の大誤審が起きるのだ。日本は1死満塁のチャンスを作り岩村明憲選手がレフトフライを放つ。捕球を確認後三塁走者の西岡剛選手がタッチアップ。誰もが日本の勝ち越しと思った。


しかし、捕手が三塁へ送球し西岡選手の離塁が早かったことをアピールしたのだ。この送球で二塁累進はセーフのジェスチャー。しかし、アメリカ代表のマルティネス監督は「判定を下すのは球審のはずだ」と抗議。ここでボブ・デービッドソン球審がアウトの判定。二塁塁審のセーフから覆ったのだ。これには王監督も抗議を行う。しかし、判定は変わらずアウト。日本は勝ち越すことができなかったのだ。

この試合9回裏にサヨナラ負けとなり大金星を逃すことになった。

「生き返れ福留」の実況中に生き返った福留孝介選手

1勝2敗の成績ながら奇跡的に2次リーグを突破し準決勝に駒を進めた日本は韓国とこの大会三度目の対戦をする。ここまで2連敗を喫していた日本。この試合も0-0の緊張状態のまま試合は終盤戦に入る。


日本は0-0で迎えた7回表1死二塁のチャンスを作る。ここで今江敏晃選手に代打を出した王監督。代打に起用したのはここまで不審だった福留孝介選手だ。この試合まで福留選手は打率.105(19打数2安打)、1本塁打、2打点の成績でこの試合はスタメンを初めて外れていた。

しかし、アトランタオリンピック、アテネオリンピックと国際試合で打率.300(70打数21安打)、5本塁打、18打点と結果を残してきた福留選手に王監督は賭けたのだ。



福留選手はカウント1-1からの3球目。実況アナウンサーが日本中で応援している野球ファンの思いを乗せて「生き返れ福留!」と話した直後、福留選手はフルスイング。打球はライトスタンドへ一直線で消えていった。この土壇場で福留選手は王監督の起用に応える2ランホームランを放ったのだ。


この一打で勢いに乗った日本はこの回一挙5得点。8回にも1点を追加し6-0で韓国を下す。1次リーグ、2次リーグで苦杯を舐めさせられていた韓国に大一番で勝った日本はこの勢いのまま決勝戦に乗り込んだ。

川崎宗則選手の「神の手」

準決勝で韓国を撃破した日本は決勝でキューバと対戦する。試合は点の取り合いとなり6-5と1点リードで9回表の攻撃を迎える。1死一、二塁とチャンスを作り打席にはイチロー選手。カウント1ボールからの2球目を一二塁間を破るライト前ヒットを放つ。二塁走者の川崎選手はギリギリのタイミングだったが本塁へ突入する。



キューバの右翼からも好返球が戻りタイミング的にはアウトだった。しかし、川崎選手はギリギリのところで捕手のタッチを掻い潜り右手で本塁ベースに触れたのだ。この川崎の走塁は「神の手」と称されるほど鮮やかな走塁だった。これで7-5とリードは2点とし日本はその後も追加点を加えた日本は10-6でキューバを下し初代チャンピオンとなった。

MVPは松坂大輔選手

日本代表は初代チャンピオンとなったこの大会でMVPに輝いたのは松坂大輔選手だった。松坂選手は1次リーグのチャイニーズタイペイ戦、2次リーグのメキシコ戦、決勝のキューバ戦と3試合に先発。3勝0敗、13回を投げ2失点(自責2)で防御率1.38の活躍を見せた。
球数制限がある中で松坂選手は、上原浩治選手と共に先発陣の柱としてフル回転。見事、優勝に貢献したのだ。



また、優秀選手として松坂大輔選手、里崎智也選手、イチロー選手の3名が日本代表から選ばれた。この大会の優秀選手には日本でもおなじみの顔ぶれが揃っており投手ではオリックスにも在籍した朴賛浩選手(韓国)、ロッテ、巨人、オリックスで活躍したイ・スンヨプ選手(韓国)、中日で活躍したイ・ジョンボム選手(韓国)、DeNAで活躍したユリエスキ・グリエル選手(キューバ)らが受賞している。



★表彰選手(敬称略)



【最優秀選手】

松坂大輔(日本)


【優秀選手】

投手:松坂大輔(日本)

投手:ヤデル・マルティ(キューバ)

投手:朴賛浩(韓国)

捕手:里崎智也(日本)

一塁手:イ・スンヨプ(韓国)

二塁手:ユリエスキ・グリエル(キューバ)

三塁手:エイドリアン・ベルトレー(ドミニカ)

遊撃手:デレク・ジーター(アメリカ)

外野手:イチロー(日本)

外野手:イ・ジョンボム(韓国)

外野手:ケン・グリフィー・ジュニア(アメリカ)

指名打者:ヨアンディ・ガロンボ(キューバ)



数々の波乱、名場面を生んだ第1回のWBCは日本が優勝を果たした。これ以降、日本人選手の多くがメジャーリーグへ挑戦するようになりメジャーリーグとの距離感が縮まった感がある。

サッカーのワールドカップと比べるとまだまだ規模は小さいWBCだが、この日本が優勝した第1回から歴史は始まったのだ。第4回大会で消滅の噂も流れているが可能な限り続けてほしいものだ。

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