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大相撲における番付表とは
大相撲を観ていて、東の横綱、西の大関、前頭三枚目などの言葉を聞いたことはないだろうか。これらの言葉は、番付表と呼ばれる力士の順位表で用いられる。ではこの番付表とは一体何なのだろうか?今回は大相撲の番付についてじっくり見ていきたい。
番付は大相撲の地図
番付表とは力士のランキング表である。現在の大相撲では、番付には6つの階級と10種類の格付けがある。階級は上から幕内、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口の6つだ。幕内ではさらに上から横綱、大関、関脇、小結、前頭と5つの格付けがある。そして前頭や十両以下には順位がある。この順位を「○枚目」と表し、1位を「前頭筆頭」と呼ぶ。
また番付は全体を東西に分ける。昔は東のほうが優位とされていたが、現在では実力が伯仲する力士同士が東西に対称に配置される。序ノ口、序二段以外には定員があり、三段目は200名、幕下が120名、十両が28名、そして幕内は42名である。
力士は勝ち越すことで番付を上げることができ、負け越すと下がってしまう。各階級で番付の下に行ってしまうと、下の階級に落ちてしまう。反対に幕内以外だと優勝するか、それに準ずる成績を収めると上の階級に昇ることができる。
十両以上か幕下以下か、この違いはとても大きい。十両以上の力士は「関取」と呼ばれ、幕下以下は「力士養成員」または「取的」と呼ばれる。よく力士を「○○関」と呼ぶ場面を見るかと思うが、それは十両以上の力士に対しての呼称である。詳しく見ていこう。
力士養成員(序ノ口、序二段、三段目、幕下)
序ノ口、序二段、三段目、幕下。この4つの階級に所属する力士を「力士養成員」と呼ぶ。
この上にある十両、幕内の階級の力士を「関取」と呼び、待遇が大きく異なる。
番付表の上にもその違いが顕著に表れている。格付けが一番下の序ノ口は、番付表でも一番下。虫眼鏡を使わないと読めないような小さな文字で書かれている。番付に載ることができるだけでも一つの大出世なのだが、それでも肉眼では読むのも難しい、そんな扱いだ。これは裏を返すと階級を上がること、出世が大きな意味を持つことを示している。
序ノ口の上に書かれるのが序二段、そしてその上に三段目。番付表の下から二段目、三段目に書かれるからこの階級名がつけられた。その上にあるのが幕下。「幕内の下」という意味だが、現在は幕下と幕内の間に十両という階級がある。江戸時代には十両は存在しなかったため、この名がつけられた。幕下まで番付を登れば関取まであと一歩という階級であるが、ここまでに何百人もの力士がいる。
力士養成員は厳しい修業の段階
力士養成員と関取との間には待遇に大きな差があると前述した。
これは相撲部屋の内弟子制度によるものだ。十両に上がってようやく力士として一人前とされており、それまでは星を上げ番付を登っていけるようにとにかく相撲漬けの日々が待っている。
まず、部屋に住み込みとなるため衣食住には困らないが、力士養成員には給与が出ない。また部屋の関取や親方の付け人として付いて回り、まわしの準備や手入れ、髷(まげ)を結う手伝いなども行う。
そして現代スポーツ界では異例かもしれないが、力士養成員には結婚が許されていない。部屋入り前に結婚していても、幕下以下は部屋に住み込みになるため、別居することになる。給与が発生しないため、現実的に家庭を持つことが困難なのだが、それでも現代社会の考えからすると厳しい原則だと言えるだろう。
こうした内弟子制度は落語や歌舞伎などの伝統芸能の世界でもみることができる。
スポーツという観点から見ると厳しい内弟子時代だが、これを乗り越えて十両に昇進すると「世界が一変する」と、多くの力士が語っている。その差は、幕下筆頭と十両十四枚目というたった一枚の差で、こうした待遇は分かれてくる。それだけに十両昇進は全ての力士養成員が目指す大きな目標なのである。
一人前の力士:十両
続いて十両を見てみる。定員は28名以内。先に書いたように、江戸時代まで十両という階級は存在しなかった。明治に入り、幕下の上位10位以内の力士に給与が出るようになる。その額が十両。ここから十両という階級が作られた。正式名称は「十枚目」である。これは給与が支給されるのが幕下十枚目以内、という規定によるものだが、通常は十両と呼ぶ。
では幕下以下と比べ、どう世界が一変するのだろうか。まず、十両に昇進すると給与が支給される。その額なんと月額100万円以上。さらに個室の使用が認められる。そして場所中は毎日土俵入りが行われ、そのための化粧まわしも用意される。髪も平易な髷(まげ)から立派な大銀杏(おおいちょう)を結うことが許される。付け人もつき、結婚もできるようになる。まさに世界が一変するのだ。
これだけの待遇差も驚きだが、力士は十両になってようやく一人前と言われており、幕下以下に「ここまで上がってこい!」というメッセージにもなっている。
トップ力士だけの世界:幕内①前頭~関脇
番付表の一番上に大きな文字で書かれるのが、トップ力士だけが名を連ねる幕内だ。皆さんがテレビの相撲中継で見る取組み、そのほとんどはこの幕内力士による相撲である。定員は42名。幕内力士の階級は最上位から横綱、大関、関脇、小結、前頭の5つだ。それぞれ見ていこう。
まず前頭は、横綱、大関、三役以外の幕内力士を指す。前頭で最も順位が上のものが前頭筆頭であり、以下二枚目、三枚目と続く。実は「前頭」という名前は、幕下以下序ノ口までの力士のことも含む。幕内の前頭を指す言葉として、何の役職もない幕内力士という意味の「平幕」という呼称もある。平幕力士が横綱を破ることは大きな手柄であり「金星を上げる」と呼ばれる。
横綱に続く大関、関脇、小結を合わせて「三役」と呼ぶ。ただし大関には横綱に次ぐ特権があるため、通常三役というと関脇と小結のことを指す。この三役(関脇・小結)について見てみよう。関脇は「大関の脇につく力士」という意味。大関昇進に一番近い存在である。ただし実際は関脇か小結であれば資格のひとつを満たすため、必ずしも関脇を経ないといけないわけではない。こちらも基本的に東西に最低1名ずつ置かれる。
小結の由来は諸説ある。番付上は関脇の下、前頭の上であるが、前頭筆頭から一気に関脇に昇進するケースもあり、また給与額も関脇と小結は同額である。
トップ力士だけの世界:幕内②大関&横綱
三役の上に立つのが大関。その名の由来は「大関取」で、横綱という位が設けられる前は最上位だった。大関に昇進するためには「3場所連続で三役(関脇・小結)の地位で、その通算の勝ち星が33勝以上」という基準がある。
また2場所連続で負け越すと大関から関脇に降格する。1度負け越すと次の場所では「カド番」と呼ばれ、勝ち越せば「カド番脱出」となる。規則上は番付の東西に1人ずついなければならないが、大関が1人のみの場合は横綱が「横綱大関」としてその役割を担う。横綱や大関には多くの付け人が付くほか、公式行事での移動でファーストクラスやグリーン車を使用することができるなど、多くの特権が約束されている。ここまで上り詰めた力士はトップ中のトップ力士、選ばれた存在と言ってよいだろう。
そして大相撲の世界の最上位に立つのが横綱だ。2017年5月現在は東西に2人ずつ、計4人の横綱がいるが、実は定数はなく、規則上は横綱不在でも問題はない。ただすべての力士を代表する大相撲の象徴とも言える存在なので、不在というのは寂しいだろう。
横綱に昇進する基準は明確ではないが、おおよその目安として「大関で2場所連続優勝」が求められる。一度昇進すれば引退するまで降格することはないが、横綱には品格と強さが求められるため、ピークが過ぎてもいつまでもダラダラとその地位に甘んじる横綱は許されない。
番付は相撲以外の世界にも
ここまで番付を下から上へと見てきた。番付表は大相撲の世界を1枚におさめたものと言ってもよい。最後にこの番付から生まれた言葉をいくつかご紹介しよう。
まずは「一枚上手」だ。自分より秀でた相手のことを指す言葉だが、前頭や十両などの順位を示す「○枚目」に由来している。自分より番付が上だと認める、ということだ。
そしてもう一つ、「番狂わせ」という言葉がある。いわゆるジャイアントキリングだ。番付ではおおよその実力差が明らかになるわけだが、その順序通りではない下剋上の結果となることを指している。こうした言葉以外にも、番付自体がランキングや順位表といった意味で、相撲以外の世界でも用いられている。「長者番付」がその好例だ。
番付表は大相撲の世界をまとめた便利な一枚だと言える。またこの形式を踏襲した様々な格付けが他分野にも派生しているほか、普段使用している慣用句も、実は番付表が由来であることもお分かりいただけたのではないだろうか。次に大相撲を観戦する際には、ぜひ番付表をご覧いただき、幕内から序ノ口までを網羅する最新の大相撲事情を確認していただきたい。
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